#255 四季を感じる生活を写真と共に
Podcastの第255回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。
1月は写真の被写体に困る?
こんにちは。カメラマンの大野朋美です。
もうすぐ暦の大寒を迎えますね。
昨年の3月、暦の啓蟄に当たる日から二十四節気をお知らせしています。私の運営するFacebook「写真散歩」とそのInstagramに投稿していますので、ぜひご覧ください。始めた理由は、四季を感じる生活をしたいですね、というメッセージを込めています。投稿のコメントにも「季節を楽しむ」というハッシュタグを付けています。
東京だけではないと思いますが、昨今、たとえば電車やバスに乗れば9割以上の人は始終、スマホの画面に捉えられていて、車窓からの風景を眺めている人はほとんど見受けられないですね。まあ私も他人のことをとやかく言える立場ではないのですが。
季節を感じながら暮らしている方もたくさんいらっしゃるでしょうけれど、とかく仕事や日々のあれこれに頭を占領されてしまう私のような人のために、季節の変わり目や、その季節の匂いというのかな、そういった感覚を思い出すキッカケになればと思い、投稿を始めました。せっかく豊かな四季のある国で生活しているのですから、それを味わいたいものです。
さて冒頭にお伝えしましたが、暦でいえば今は「寒」です。もう少ししたら梅が咲き始めるのでしょうけど、この時期は、何を撮ろうかと考えてしまう方も少なくないのではないでしょうか。1月初旬に東京では雪が少し積もったので、そのときはSNSに雪の写真が溢れましたが、そういうことでもなければ、なかなかカメラの出番がないんだよね、という方も多いのではないでしょうか。
こういった季節にお勧めしたいのは、ご自身の「庭」を写真散歩することです。庭というのは比喩です。よく「ここは私の庭みたいなものだから」と言うじゃないですか。その意味での庭です。
自分の庭をカメラと歩いてみよう!
近場を写して何か面白いことあるのかなと思っている方もいるかもしれません。でもこれがなかなか楽しいんですね。特に気持ちがモヤモヤしている時なんかは、気分がスッキリするのです。私はネットやメディアの生み出す情報からのイメージで頭の中がいっぱいになったときや、人間関係でモヤモヤしたときなども、そういった頭を、というか心をリセットしてくれる効果もあると考えています。
でもふだん見慣れた風景を歩いて、撮りたい被写体に出会えるのかなと思われる方もいるかもしれません。これについてはカメラのマジック、カメラマジックなのですが、不思議と見つかるものなんですね。
この季節は、公園や道沿いの木々も、枯れ木ばかりかもしれませんが、私などは枯れ木になってこそ枝ぶりがよく分かって面白いと感じます。よく見ると、ひとつとして同じ枝のつき方をしていないんですよね。そういった木の個性が面白いと感じています。
また枯れ木ばかりで世界が灰色に思えても、注意してみると道の脇の植え込みに花が咲いていたりして。そういうのを見つけると、ちょっと心が明るくなったりします。
カメラのレンズですが、自然な視野角の標準レンズで良いのですが、あえて望遠、中望遠くらいを付けてファインダーをのぞいてみると、いつもの風景が新鮮に見えてきます。こんな風に写るんだなと発見できて、嬉しくなったりします。
しゃがんだりして、アイレベルを低くしてみても発見があるかもしれません。これまで何千回と歩いた同じ道なのに、気づかなかった光景を見られるかもしれません。
時間帯を変えてみるのもお勧めです。いつも昼間に歩く道なら、夜に歩いてみるとか。私はこの夜散歩もけっこう好きです。昨今のカメラはとても優秀で、街灯や月明かりでも、ISO感度を上げれば、けっこう写ってくれます。街灯だと緑色に写りがちですが、それはそれで面白いし、もちろんホワイトバランスを調整してもいいでしょう。またモノクロにすれば、見慣れた風景とは思えないようなカッコイイ写真になったりします。
もちろん早朝や夕暮れ時も、心が動く写真の撮れ高がよさそうですね。
そうやって面白いと思える写真が撮れたら、これまで「自分の庭」と感じていた場所への愛着がさらに増えるんじゃないでしょうか。今、この場所を写真で記録しているのは自分だけなんだと、ちょっとした使命感も芽生えるかもしれません。
何年も写していると、ある日突然、切られてしまった公園の木や撤去された遊具、壊された建物などを見るにつけ、あぁ写しておいて良かったなと思えることは何度もありました。東京の街中ということもあるのかもしれませんが、毎年のように何かあったりするんですよね。
ぜひこの時期、ご自分の「庭」を写真散歩してみてください。ちょっとづつ春を感じる発見をするたびに楽しい気持ちになってきますよ。
ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!