#210 CP+2021レビューで気になったミラーレスカメラ
Podcastの第210回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。
こんにちは。カメラマンの大野朋美です。
先週に引き続き、CP+2021オンラインの情報をお届けします。
今回は、CP+2021のコンテンツを20数本視聴した中から、欲しいと思ったミラーレスカメラを3つご紹介します。
ソニー α1
まず最初はソニーから新しく発売されるα1です。
私は仕事機としてはキヤノンの一眼レフを使っているので、ミラーレスに変えるとしたら、発売からいい話しか聞かないR5を視野に入れていました。でも今回、このα1のプロの評価を聴いたら、けっこうグラついてきました。
まずフィギュアスケートを撮影されている田中宣明(のぶあき)さんのお話から。
連写が秒30枚はすごい、と。これまでα9MarkⅡを使って、秒20コマ。これでもう十分と思っていたけど、30コマを使ってみたら、30がいいなと。
いや、私などはそもそも秒10コマあればいいくらいに思っていて、そこへきてソニーがα9で20コマ出してきた時に、20はいらないんじゃないかなって思ってましたが、田中さんによれば、30使ったら、30必要に思えてきた、とおっしゃるんですよね。そう言われると、まだ経験していない世界があるのかもしれないと私も、30コマに惹かれてきました!
連写については、あと鉄道写真家の中井精也さんも、電車が鉄橋を渡る時に一瞬、鉄骨の間に電車の頭が出る瞬間を撮れると話していました。私は逆に、電車の車窓から撮ることの方が多いですが、これはいいと思いましたね。
また、ファッションフォトグラファーの高橋優也さんは、α1を使って、スタジオでのポートレート撮影をされていました。
彼は、モデルと花びらを絡めた絵作りをよくされるそうです。花びらをハラハラと落としすとか。でも連写を使えば、撮り直しが無く、1発OKになったと話されていました。
それを聞いて、昔のアシスタント時代を思い出しました。私もファッションフォトの現場に長くいたので分かります。こういった花びらを落としたり、撒いたりする時は、アシスタントだけでなく、現場のみんなでやるので、人たちにも歓迎されそういいですね。結婚式の写真でも、フラワーシャワーやブーケトスで、ブライダルカメラマンに歓迎されそうです。あとは風を吹かして、髪をなびかせるときにも使えますね。
また、HDR機能を評価していました。逆光で照明を当てたら、レフ板だけで明るさが起きるというのもいい。普通は照明を当てるところ。これも私の仕事的にも、魅力的な機能ですね。
ここで田中さんに話を戻すと、α1は、フリッカーレスが電子シャッターで効くそうです。だから屋内競技ではありがたいと言ってました。たしかにこれも私にかなり魅力的な機能です。
また5千万以上の画素数で、暗部のノイズが目立たない。これも私的に魅力です。ほんと、フィギュアスケートに限らず室内競技の多くのカメラマンが、気になる性能かなと思います。
オリンパス OM-D E-M1 MarkⅢ
ほしいと思ったミラーレス機、2つ目はオリンパス(OMデジタルソリューションズ)の、OM-D E-M1 MarkⅢです。
こちらは、 昆虫写真家の海野和夫(うんの)さんの紹介ムービーを拝見して、がぜん惹かれました。
なかでも深度合成モードは、ぜひ使ってみたいです。
この機能は以前から搭載されていますので、オリンパスユーザーの方には、何を今さらと思われたかもしれません。私も知らなかったわけではないのですが、海野さんの素晴らしい写真を拝見すると、ぜひ使ってみたいと思いました。
マクロ撮影は、ご存知のように、被写界深度が浅くなる傾向にあります。しっかり絞っても、限界を感じることが多いです。でもこの機能を使えば、背景に対して、昆虫をクッキリと浮き立たせることができます。というのも、この機能は、ピント位置を少しずつずらして複数枚撮影された写真をカメラ内で合成してくれるという機能なんです。しかも合成なのに手持ちでOKってところがまた魅力的ですね!
私が使うなら、花とか小物撮影になると思いますが、海野さんの作品を拝見したら、虫の写真も撮ってみたくなりました。
また、プロキャプチャーモードの紹介もされていました。これは数年前のわたしのYoutubeで、CP+のオリンパスブースをリポートしたとき、ミルククラウンでデモをされていたのを紹介しています。要するに、シャッターを切る前の部分も遡って記録してくれている機能なんですね。シャッターを切っていないのに、カメラが気を利かせて(?)撮ってくれているんです。すごい機能だなと驚いたのを覚えています。
たとえば蝶や鳥の撮影をしている方で、飛び立つ瞬間を捉えたいと思っている方は多いと思いますが、なかなか難しいところですよね。長年の経験で培ったカンに寄るところが大きいです。でもこの機能を使えば、そこを押さえられる可能性が一気に上がるんですね。
また、海野さんの使っているレンズ100-400mmの望遠ズームも気になりました。かなり寄れるので、マクロ撮影のような写真が撮れるそうです。たしかに、昆虫が大きく写っている写真を拝見して、望遠ズームで撮影されていたことに驚きました。
また手ぶれ補正も優秀なんですよね。CP+2019のオリンパスでリポートしていますが、8段の手ぶれ補正ですよ。このカメラのセンサーはマイクロフォーサーズなので、35mm換算で1000mmくらいの焦点距離になるそうですが、それが手持ちでいけるのだから、すごいことです。
富士フイルム GFX100s
最後はFUJIFILMの、GFX100sです。
このカメラの講評については、フジの開発者トークを聞いていてグラっときましたね。
だって、1億200万画素なのに、900gですよ!もちろんこれだけの画素数というからにはセンサーも大きく、フルサイズより一回り大きい、43.8×32.9mmです。
このカメラのレビューでは、風景写真家の辰野清さんが、これだけの画素数だけれど、夜の撮影で色・輝度ともにノイズが気にならなかったと、おっしゃっていました。先ほど、ソニーのところでも話しましたが、大事なポイントです。
あと、開発者トークで話されていたフィルムシュミレーションの「ノスタルジックネガ」が気になってます。1970年代アメリカの写真に登場した写真の色味(アメリカンニューカラー)、ニュアンスなんだそうです。ぜひそれで撮ってみたいですね!
さて、ほしいミラーレス機を3つご紹介しました。紹介した順番は関係ないです。どれも同じくらいの気持ちがあります。でも、そもそも予定していたのはキヤノンのR5ですからね、いや〜、ほんと悩ましいかぎりです(^^;)
それにしてもここ数年は、毎年、もう十分に進化したと感じてきているのですが…いやはや、とどまるところを知りませんね。どこまで行くのやらです。
ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!