#223 シャッターチャンスに出会うために
Podcastの第223回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。
撮影チャンスに恵まれるために
こんにちは。カメラマンの大野朋美です。
写真って、自分の力だけで何とかなるものじゃないですか。そのシーンが目の前に現れてくれないと写せないですよね。どんなに頑張ったとしても、全て自分の実力だけで何とかできるものじゃない。
天候はもちろんのこと、たとえば可愛い猫の写真を撮りたいと思っても、猫が出てきてくれないと撮れないですし。
長年カメラを持って街歩きした経験の中には、たまたま、これはと思う印象的な人物が現れて、とっさにシャッターを切った。で、その写真があとあと自分の人生でも心に残る1枚になったりしたことがあります。本当に、ほんの僅かなタイミングのズレでも出会わなかった人なのに、今となっては、その写真が手元にないなんて想像できないって、思ったりします。おそらく同じような経験をされた方も多いのではないでしょうか。
だから、最終的に、運は天に任せるしかないのだけれど、でもやっぱり、成り行きに任せるだけじゃなくて、少しでも自分で何か出来ないかなと、思ってしまうんですよね。
それで私には、撮影チャンスをつかむとか、タイミングに恵まれるために、心掛けていることがいくつかあります。今回はそれについてお話してみたいと思います。
縁を大事に
大野朋美がチャンスやタイミングをつかむためにしていること。それを一言でまとめると、縁を大事にしているってことです。
これって理屈で証明されるような話じゃないのですが、私はけっこう真面目に信じていて、できるだけ心掛けていることなんです。
どこかの地域を訪れるっていうのは、その土地と縁が繋がるってことでもあると思うんですよ。
だから、もし1度目の訪問が空振りであっても、何度も足を運ぶようにしています。
何度も訪れていれば、そりゃあそのうち良いこともあるさと、ふつう考えますが、でも考えてみれば、その確率が上がるわけではありません。その土地に長期滞在するなら別でしょうけど。
そして、もし意図した風景が空振りであっても、何か写して帰るようにします。そこには、その場所と縁を深めるという考え方があります。シャッターを切って写真におさめるという行為を、私はそこと繋がると考えているんです。これは感覚的にそう感じているんです。
レンズを向ける先は適当な何かではなく、その場所の他のものにも、実はもっといい風景があるんじゃないかって思って目を向けてみています。
もちろん、それでも不作なことはありますし、2度目に訪れれば、じゃあ上手くいくのかっていうと、そうとも限らない。それでも自分の気持ちが本当か、その土地の神様に試されているんだと思って通います。どうしてもそこでいい写真が撮りたいならですけど。
あと、その町を歩いていて、ぐうぜん見つけた神社は素通りせず、お参りするようにしています。やっぱりその土地の神様にはご挨拶しておいた方がいいと思って。
すぐに動いてみる
そして、もうひとつ。
思い立ったが吉日、という考えで動くようにしています。
ネットや雑誌などの情報で、偶然にその素敵な風景を見つけたとき、もしもその場所のベストシーズンが秋だったとしても、秋になるのを待たないで、直近で行けそうなときに訪れてみるようにしています。
今すぐに行ったからといって、秋に行っちゃいけないわけじゃなくて、両方で行けばいのに、人って不思議なもので、どっちかを選ぼうとしてしまいがちですよね。
で、実際にそこに行ってみると、情報だけでは知ることのなかった、様々な風景が広がっていたりして、そっちに夢中になったりすることがあります。
一般の多くの人にとっては、秋がベストシーズンであっても、私にとっては6月がベストシーズンになりうるかもしれないってことです。
情報を目にしたタイミングって、何か自分の直感が、そこへ行くことを知らせてくれたのかもしれないじゃないですか。
最初に話した人との出会いも、そのタイミングだったから出会えたわけです。もちろん科学的、論理的に説明できる話じゃないですけどね。
目的としていた風景が撮れなかったとしても、この写真が撮れたならそれで十分だと思える写真が撮れたりする。その場所に呼ばれたのかなと思います。
感謝も忘れない
そして最後に、いい写真が撮れたらつい、エッヘン!(^^) って思っちゃいがちですが、でもそれと同時に世界に感謝することを忘れないように心掛けています。
写真って、どんなに頑張ったとしても、自分の力だけで良い写真が撮れるものではない。運まかせなところがあるって最初に言いましたけど、でもだからこそ、思いがけないタイミングに恵まれることもあります。で、それが写真の醍醐味だったりしませんか? そういう期待があるから、写真がやめられなかったりするんですよね。
ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!