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#265 広告写真の仕事をするには撮影の腕だけじゃダメなの⁈

Podcastの第265回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。

広告写真とは

こんにちは!カメラマンの大野朋美です。

近所の桜がほぼ満開に近い状態でちょっと驚いてます。

というのも、先週は撮影の仕事で島根県へ行っていたのです。松江から大田市あたりに数日間、滞在していたのですが、その時はどの桜の木もまだ硬い蕾だったので、東京へ戻ってきたら、咲き始めの頃を知らずに、一気に満開の桜を目にしたからです。

島根での仕事というのは、あるお茶屋さんの新商品のパンフレットに使う写真を撮影することでした。

そこで今回は、私の仕事について少しご紹介しつつ、タイトルにあるように、『広告写真の仕事をするには撮影の腕だけじゃダメなの⁈』ということについて話してみたいと思います。まあちょっと攻めてるタイトルではありますけどね(笑)

広告写真というのは、主に雑誌やポスターに使われたり、チラシやパンフレットに使われたり、現代ではネット広告でも使われる写真のことです。ちなみに広告写真のことをコマーシャルフォトとも言ったりします。そういう名前の雑誌がありますよね。

私が受ける広告写真の仕事っていうのは、だいたい、商品を撮影したり、社長やオーナー、スタッフなど人物を撮影したり、会社の社屋の外観や、店舗の内装の撮影をセットで受けることが多いです。

これを聴いてくださっているリスナーの方々は、ふだん風景やスナップ写真を撮られることがほとんどかと思いますので、今回の話題は、直接には関係ないと思われるかもしれません。でも決して無駄じゃなく、参考としていただける話だと思いますので、少しお付き合いいただけたら嬉しいです。

仕事ができるカメラマンとは?

撮影の腕だけじゃなくて、いったいどんなスキルが必要なのか? それはですね、一般常識や教養などの知識です。浅くていいので広く様々なことを知っておくことです。そしてそういったことを打ち合わせで机の上に出せるかどうかなのです。

ある撮影案件が決まったら、撮影に入る前に事前に打ち合わせをしますが、その時に、カメラマンも提案ができた方が断然いいのです。いいというのは、クオリティの高い仕事ができますし、その結果として次の仕事に繋がりやすいのです。

分かりやすい例を挙げてみます。大学教授を撮影するとして、その打ち合わせの際に、何を話しておくのかということですが、

カメラマンとしては、撮影する教授の部屋が窓から外光の入る明るい部屋なのか、それとも壁だけの暗い部屋なのかを尋ねて、照明は必要なのか、何をどのくらい準備していくのかを考えます。これはカメラマンの撮影技術の部分です。

このとき私だったら、他に、教授の部屋がどんな部屋なのかを尋ねて、たとえば専門書の並んだ本棚の前で撮影が出来そうかなどと聞いておきます。

また男性教授なら、手持ちのスーツやシャツ、ネクタイの色やデザインを聞いて、どれが相応しいのかの提案をすることもあります。

つまり、大学教授なら大抵は本棚のまえで写す、そういった写真が多い、ということを知っていることも大事だということです。もちろん他の場所で撮影した写真は多いですが、そこには何か他に意図があるとか、事情があったりします。

また服装の提案も出来た方がいいのですが、そのためには、もちろんファッション、スタイリングについての知識を持っておく必要があります。

このたびのお茶屋さんの仕事でも、事前の打ち合わせで、私からの提案で急遽、用意していただいたものがあったりしました。「たしかにそれは、あった方がいいですね。」と言っていただいたんですね。

他にも、たとえば料理写真なら、その料理の乗った皿だけを撮るのではなくて、テーブルセッティングを撮ることもありますから、そのときに何が必要かを知っておくとか。メニューによって、何を用意した方がいいのかを提案できることが大事です。

商業写真というのは、それが売り上げに繋がっているという意識をカメラマンが持っていないといけないんです。いけないというか、そういうカメラマンが仕事のできるカメラマンだと言っていいと思います。ただ言われた通りの写真を撮るだけじゃなくて、です。

カメラマンって、だから撮影現場で被写体を前にしてから、シャッターを切るまでの間に、ものすごく沢山のことを考えてます。わたしなど、もう脳が沸騰しています 笑

とは言えですね、じつはそのパンフレットとかホームページを制作する会社、プロダクトを作る会社のなかには、そもそもカメラマンがそういう話が出来ると思っていないところも少なくなかったりするのです。

そういうところだと、打ち合わせにカメラマンを呼びません。お客さん、つまり今回の仕事だとお茶屋さんと、そこのパンフレットを作る制作会社だけで話をして決めて、決まったことをカメラマンに伝え、こちらは当日に撮るだけ、そのつもりで話を進めるところも結構あったりします。

ただそういう場合は、たいてい当日に、事前にカメラマンも入れて打ち合わせさせてくれたらもっと良い仕事ができたのに、ということも少なくないのですが。

ただその代わり、そういう会社だと、そもそもカメラマンが売り上げにコミットしているとは想像もしていないのでしょう。カメラマンの側もそういう意識で、つまり言われたように撮影すればよいと考えている人も少なくないようです。

ですから今回のタイトルは、あくまで質の高い仕事をして、どんどん仕事が入るカメラマンに求められること、なのです。

ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!

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