#217 素直に見つめ、そして表現する
Podcastの第217回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。
植物料理研究家よしさん登場
こんにちは。カメラマンの大野朋美です。
今月の『カメラとブラともみ』は、秩父にある古民家カフェを訪れています。
出演してもらったカフェのオーナーは「植物料理研究家・よしさん」。彼女には以前Youtube『みんなの写真塾』シリーズの第3回で、経営されるカフェを使わせていただいてました。で、そのときもチラッと出演してもらってたんですね。
そのときは東京の国立駅近くにカフェがあったのですが、数年前から秩父の古民家に移住されました。ここで再びカフェをスタートさせたり、料理教室などもされています。また、畑も始められたようです。
彼女はこの方面では昔から活躍されているので、これを聞いている方の中にも、菜食とかビーガン料理に詳しい方はご存知だったかもしれません。TVや雑誌で何度も取材されているので、このYoutubeへの出演も慣れたものでした。
さて『カメラとブラともみ~春の秩父編』Part4では、彼女に料理の盛りつけ方の話などをうかがいました。
で、その話がとてもステキだったので、その部分について、この場でも紹介したいと思います。
野菜への愛情があるから
オーナーのよしさんの料理はワンプレートのスタイルが多いんですね。
定食を、小鉢を並べるのではなく、大きめの1枚のお皿に料理を盛り付けて出します。
その盛り付けの彩りがステキで、カフェではよく別のテーブルで、料理が出された瞬間に、ワー(ステキ)!っていう声が聞こえてきてました。そして大抵みなさん、スマホで写真を撮られていました。
なので、今回の『カメラとブラともみ』では、そこのところを、つまり1枚のお皿に料理をどう並べていくのか、盛りつけ方のコツをうかがってみたんです。
まあでも、コツの話はYouTubeの方をご覧ください。私が今ここで取り上げたいのは、彼女の、なんていうのか・・・世界を見つめる視線についてです。
よしさんは、いま畑で採れた野菜、目の前にあるその野菜を見て、そこでこれはどう料理しようか、どういう切り方で、どう盛り付けようかと考える、って話されていました。
それって、畑で取れた野菜を、料理の素材と見ていないってことなんですよね。まず料理するものがあって、それに必要なニンジンとかキャベツ…という風に見ていないんです。
畑で取れた野菜を見ているうちに、じゃあこの料理に使おうとか、こういう風にカットしようとかって、ひらめくようなんです。
で、それをとても嬉しそうに話されるのです。隣で聴いていた私には、その楽しい気持ちがすごく伝わってきました。
植物料理研究家と名乗っていますが、本当に野菜や食材が好きなんでしょうね。野菜への愛があるんだなと、感じられました。
一口にニンジンって言っても、よくみるとちょっと黄色っぽいものもあるし、赤っぽいものもある、形も様々。でも野菜の色や形、見栄えがどうとか、そういうことを“判断”するんじゃなくて、いま目の前にある畑でとれた野菜を、どう活かすのかを考えている。それも、そうあるべきって話じゃなくて、愛情があるから、しぜんとそう考えているんだと思います。
私も、そういう目で世界を見て、写真に表現していきたいなと、対談してみて、あらためて思いました。
素直に見つめ、そして表現する
目の前にある景色を、頭の中の概念や余計な思い込みを取り払って素直に見るって、大事なことです。たとえば花が綺麗に咲いていたら、その美しさを写真でどう表現するのか考えますが、枯れていても、じゃあそれをどう表現するのか。あるがままを素直に見るのです。まあ、いつもそうするのは難しくても、出来るだけ忘れないようにしたいと思います。
この話は、写真散歩が好きな人、スナップが好きな人には特に共感していただけるのではないでしょうか。スナップって、今日は何を写すぞとか、目的を決めずに歩きます。そして、その時に目にしたもの、その時々の出会いに驚いたり、楽しんだりして、カメラにおさめていきますよね。
私の主催している『おさんぽフォト』も、そんな世界を味わおうという趣旨で開催しているし、ここに集って来る人たちは、そんな出会いを楽しんでいるように見受けられます。東京のビル街を歩いても、奥多摩の自然の中を歩いても、目の前の景色を楽しんでいます。
いやそれにしても、よしさんの対談での話す姿を、後で映像で観たときに思ったのは、次は誰か聞き役を立てて、私があの活き活きと話す姿を写したいなということでした。
そしてもうひとつ、同時に思ったことがあります。それは、私は自分の写真を誰かに見せながら、そこに写った景色について、あのくらい活き活きと話していただろうか、と。いや、ちょっとドキッとしたりもしましたよ。
だからこのゴールデンウィーク中に、これまで写してきた写真を、もういちど見返してみようかなと思っています。
ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!