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#222 写真を上手くセレクトするのためのプロセス

Podcastの第222回をお届けします。音声で聴く方は一番下に。文字で読みたい方はここからどうぞ。

写真を作品とするための3つの段階

こんにちは。カメラマンの大野朋美です。

今回は、写真を写真作品へと昇華するためには、撮影だけじゃなく、その後のセレクトも同じくらい大事って話をしたいと思います。

まず写真を作品として完成させるには、3つのプロセスがあります。
それは、撮影、セレクト、現像、です。

この3つの工程のひとつひとつに、真剣に向き合っていくことが大事なんです。

で、撮影が大事なのは当たり前だし、現像もまあそうなのかなと思うけど、選ぶのはどうなんだろう?って、ちょっと疑問に思われたかもしれません。

でも、セレクトはとても大事な工程で、私は撮影と同じくらいの重みある段階だと思っています。

写真を写すときは、シャッターを切ってみて、モニターで確認して、ちょっと違うなと思ったら、また撮り直せばいいですよね。また、その日の天候や環境など、様々な制約や条件がありますから、自分の責任じゃなくて、どうしても上手く撮れないこともあります。でも、そういう写真は、たとえ撮ったとしても、見せなきゃいいわけです。撮影した段階では、最終的なあなたの結果や評価にはならないんです。

でも選ぶことは、どうでしょう。この写真がいいと選んだことに言い訳はできません。まるっと全部、自分のセンスの表明になります。撮ることよりも選ぶことの方に、あなたのセンスが現れるのです。

見る人はそう思います。ああ、あなたはこの写真がいいと思っているのね、そういうセンスをお持ちなのねと、見た人に評価されます。ちょっと怖いですよね。

だからこそセレクトは大事な段階で、慎重に、真剣に行うことをお勧めします。

ここからセレクトする段階で知っておいてほしいコツを話します。おそらく、選ぶことに真剣に向き合ったら、けっこう時間が掛かるものだと気付かれるでしょう。これって自分と向き合うことでもありますから。でも、どれがいいかなと写真を選ぶことって、基本的に楽しいことですよね。

コンタクトシートを使ったプロセス

写真をセレクトするためには、まず現像ソフトや、閲覧ソフトに一覧表示させます。この一覧表示させた画面をコンタクトシートと言います。

ほとんどのソフトで、それぞれの写真に星マークを付ける機能が付いていますので、セレクトした写真に星をつけていきます。

どのソフトもおそらく、5段階くらいに分けられるようになっていると思いますが、どうでしょう?

でも私の場合、5段階に細かくランク分けすることはありません。通常は2、ないし3段階までです。

まず撮影した日や、数日以内に見返してみる時は、あまり神経質にならず、良いかなと思った写真全てにどんどんチェックを入れていきます。

写真の表示方法は、一覧表示だけでなく、1枚1枚を拡大表示させることもできます。

同じシーンを何枚も撮り直している場合にどれが良いかなと選ぶ時は、いろいろと迷われると思いますが、より正しい判断をするためには、拡大表示してどんどん送りながら見ていくことと、一覧表示させた状態で、他の写真と見比べる方法の両方からアプローチするようにしてください。

この見方の違いで写真の良し悪しの印象が変わるので、いいと思える写真が変わったりします。

また、一覧表示させた小さいサイズで見るときと、拡大した時とでは、見え方が変わってきます。同じ写真だけど、小さく表示させて良いと思っても、大きく表示させてみたらイマイチだったとか、その逆も起こりえます。ですので、表示方法もいろいろ変えつつ星をつけていってください。

また、この時に付ける星は、1つとか5つにせず、真ん中の3つにすることをお勧めします。

そして寝かしておきます。最終判断はこの段階ではしません。

最終判断は慎重に

だいたい一週間くらい経ってから、もういちど見返してみるといいでしょう。このくらい経ってからの、自分の見る目の方を信用した方がいいと思います。なぜなら冷静になっているからです。

撮影した日や、まだその時の記憶が鮮明な中にいる時に、自分の写真を客観的に見るのって、難しいものです。

写真自体の出来じゃなくて、写した時に楽しい気持ちだったとか、すごく苦労してようやく撮れた1枚だったりすると、そういう主観が入ってきやすいのです。多くの場合、ちょっと色眼鏡で見がちになるのです。

でも作品にするなら、ちょっと引いた厳しい目で見ることが求められます。

そういう意味では、1ヶ月くらい経ってから見返してみるくらいでもいいでしょう。

で、最初に星やチェックを付けた写真が、ここでもういちど見返しても、星を付けたくなるなと思ったら、星を付け足すのです。

最初に3つ星を付けた写真は、4つ星にする。

そして最初に星をつけなかったけど、いま見ると結構この写真もいいなと思ったら、それに3つ星をつけます。

こうすると、いま3つ星の写真と4つ星の写真ができました。

しかしこの段階でも、まだ作品にするかどうかは保留にしておいてください。そして星をつけた写真の全てを現像してみるのです。

現像していると、案外3つ星にした写真の方が4つ星より良く見える事もあったりしますから。

現像したらさらに、せめて一晩寝て起きてから判断するようにした方がいいでしょう。

現像していると、迷宮に入り込んだ経験のある人もいると思います。ソフトで調整するのは一瞬でも、調整の方向性が決まるのに時間が掛かかったりします。なんとか現像の落とし所を見出したとしても、一晩寝て起きて再び見たら、また違う雰囲気したくなる事もあるでしょう。その時に、現像が変わると、セレクトする写真も変わるかもしれません。

そのようにして、最終的に5つ星とする写真が選ばれるのです。

自分の感覚の変化を楽しむ

さて、それですぐに人に見せたり、公開する予定のない場合は、出来れば1年後にまた見返してみることを強くお勧めします。

一年後に見返してみたとき、全く同じように星をつけることにはならないと思います。別の写真を選んでたってことは十分にありえます。

そういう自分の変化も楽しんでみてください。

ところで、これって今すぐに出来ますよね。昨年以前に写した写真を今また引張りだして見返してみればいいのですから。今回の話を聴いて、すっかり忘れていた去年以前の写真を見返してみたくなったのではないでしょうか。

外出しない日は、ゆっくりじっくり、家にいながら、こういった写真の楽しみ方もおススメです。

ではまた来週、火曜朝7時にお会いしましょう!

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