種目別!子供の運動会を写すコツ

運動会で活躍する子供の姿を自分のカメラで上手に撮りたい、今年は失敗したくないと思うなら読んでみてください。運動会の撮影経験も豊富なカメラマンが撮影ポイントや注意点を解説します。大切な日の思い出を、写真の腕に自信のない方でもきちんと残せる現実的なテクニックをご紹介します。

1.運動会を撮るのに適したカメラとは

のっけから、こんなことを言うとガックリされる方もいるかもしれませんが、やはり使うカメラ・レンズは大きなポイントです。それを使っているか使っていないかで、結果が変わるのは事実です。
「はいはい、良いカメラ、高級一眼レフを買えって言うんでしょ。」と思われるのでしたら、そこはちょっと違います。運動会を撮っているプロのカメラマンが使うカメラは、単に“良いカメラ”ではなく、“スポーツに適した良いカメラ”です。もしこれからカメラを買うなら、“AF(オートフォーカス)性能の良いカメラ”を選んでください。

AF性能が良いというのは、つまりピントが合うのが速いということです。これが遅いとピンボケになります。運動会で動き回る子供を写す場合、一番の失敗がピンボケ。そのリスクはなるべく避けたいですよね。
AF性能というのは、値段の高いカメラの方が良いとは限りません。これは仕様書では判断がつかないと思います。お店の店員さんに尋ねたり、ネットの評価をみて判断してください。あとは、カメラのカタログを開いて最初に使われているのがスポーツ写真だったり、走っている犬や飛んでいる鳥だったりすると、そのカメラは“動くものに強い”カメラだと考えていいでしょう。

AF性能が良いカメラは大抵一眼レフになります。ミラーレス一眼は一眼レフより選択肢が減ってくるでしょう(2018年現在)。逆にオススメできないカメラはコンパクトデジタルカメラ。デジカメはこのAF性能が一眼レフより劣るのが理由です。かけっこや激しく動く瞬間をあきらめるなら、ズーム倍率の高いデジカメは便利かもしれません。

次にレンズですが、やはり望遠レンズが必要です。最低でも200mm以上はほしいところです。私の過去の経験からしても、街中で園庭がとても小さい保育園での運動会でさえ200mmレンズは必要でした。なので、できれば300mmとか、小学校や運動場が広い場合は、もっと大きい数字のレンズでもいいです。

2.最初に知っておきたいこと

運動会や、その競技が始まる前までに知っておきたい一番大事なことは、自分の子供がどこにいるのかを把握しておくことです。写真の腕うんぬんよりも一番大事なのは、やはり撮影場所です。当然、子供が後ろを向く場所に居ては、どんなに腕の良いプロカメラマンであっても良い表情を撮ることはできません。事前にプログラムのチェックや、子供に尋ねるなどして、場所を確認しておくことは必須です。

また出場する子供はみんな同じような服装をしているので、自分の子供がわかるように目立つ色や柄の服や靴、また何か目印を付けることも必要かもしれません。

3.カメラの設定

動く子供を失敗なく写すときのカメラの設定は以下の通りです。
①撮影モードダイヤルをS(Tv)に合わせる

②シャッタースピードの目安は、一番激しく動くかけっこなどで、幼稚園までの子供なら1/400以上、小学校以上は1/500以上に設定してください。

③ISO感度は晴れていても400。暗く曇った日などはそれ以上。
*体育館の場合は項目9.をお読みください。

④ピントを合わせる位置は、顔認証かまたは顔がくる位置に固定する。
この点は意外と大事です。ピント位置を固定させておかないと、全然違う場所にピントが合って、子供の顔が大きくボケた写真になりかねません。中央より少し上の、顔が来る位置に固定しておきましょう。
もう少し突っ込んだ話をすれば、固定していないと、AFが少し遅くなります。さらにピントを合わせる点が中央だと、ちょうど子供の服の真ん中にくることになります。体操着が白いと、ゼッケンを付けているのでなければ、カメラのオートフォーカスが合いづらくなるのです。

4.リレー・かけっこ


腕のいい人は別ですが、とにかくリレーやかけっこは失敗しないことを一番に考えるのが正攻法です。
そういった面から言えば、失敗のリスクが小さいのは、スタートダッシュの位置で撮ることです。本当はゴールで撮りたいかもしれませんが、ゴール付近は難しいので、スタートして走り始めをねらうことをお勧めします。というのもゴール付近は“だんご”になっている可能性もあり、自分の子供と他の子供が重なってしまうリスクがあります。
もしゴールで撮ろうとするなら、テープも入れて撮るようにすると雰囲気が出ていいですよ。
ゴールする瞬間もそうですが、子供の顔を写そうとして真正面から撮る場合は、ピンボケになる可能性が高まります。AF性能の優れたカメラでなければ、子供が横か斜めに走っていく位置で撮った方が失敗のリスクは減ります。
リレーでは、バトンを受け渡す付近で撮るのは難しいのでお勧めできません。子供がどっちを向くか分からないことが一つ、そして他の子供と重なるリスクが高く、子供の顔が見えない可能性が高いからです。リレーはトラックを走っているところを撮る方がいいでしょう。

5.ダンス・組体操・バルーン

ダンスや組体操もまずは撮影ポイントが大事です。あちこちに動いていきますが、全くこちらに来ない場所というのも出てきます。

組体操は、顔が真上を向いたり真下を向いていることが多いので、扇の形と最後のピラミッドの時をねらうようにして、どこにいるのか把握しておくといいでしょう。

ダンスではよく“ポンポン”を手に持っていて、それで顔が隠れることが多いので、集中して一瞬でも顔が見えた時をねらってください。

バルーンは、お子さんのアップだけでなく全体が入るショットも撮っておくことをお勧めします。

6.綱引き

綱引きは、大抵なら2回以上行って、場所を入れ替えます。自分から見える側に来たときがチャンスなのでその時にしっかり撮るようにしてください。ただ顔が見えるように撮るのは難しいかもしれません。おそらく斜め下を向いていることが多いでしょう。

綱引きは父兄対抗もあります。このとき出場するお父さん、お母さんを撮るのもいいですが、ちょっとその時のお子さんの様子を見てください。もしかしたら必至に応援しているかもしれません。その瞬間が一番いい顔をしているかもしれませんよ。私が仕事で撮影したとき、すごく良い表情に何度も出会ってきました。

7.玉入れ

玉入れは、競技中に顔を写すのはあきらめた方がよさそうです。

このように上を向いてしまっているからです。玉入れしている様子を遠景で撮ることと、玉の数を数えるときに撮るようにするといいでしょう。

9.撮影が難しい体育館での運動会


体育館での撮影は、はっきり言って運動場よりずっと難しいです。理由は暗いから。暗いところではAF性能が落ちます。体育館でも外光が入って明るければいいのですが、灯りだけだと肉眼で感じている以上に暗いです。幼稚園の年長や小学生が走るなど速く動くシーンは、スポーツカメラマンが持つような、AF性能の優れたカメラでないとピンボケになりやすいです。
躍動感のあるいいシーンを狙うか、失敗しないことを選ぶか、撮影シーンを決めておいた方がいいでしょう。失敗が少ないシーンは、上に解説してきたとおりです。

カメラの設定ですが、まずISO感度は1600とか3200くらい、最高ISO感度が25600以上のカメラなら6400以上でもいいかもしれません。

ホワイトバランス(色)にも気をつけてください。オートのままだとオレンジ色に写ってしまいます。その場で撮ってみて、もしオレンジ色が強いなら、カメラの設定で“ホワイトバランス”または“WB”と書かれた項目で、“AWB”を“電球”のマークに変更すれば軽減できます。

10.20年後に思い出せる写真にするために

運動会など子供の行事を写真に残すというのは、今だけでなく、ずっと先の将来に見返すことを想像して撮るといいのではないでしょうか。ポイントはストーリーを考えてみること。例えば「いってきます」の瞬間から撮り始め、帰り際に茶色く汚れた体操着の姿までを、カメラにおさめるとストーリー性が感じられます。立てられた看板や入場ゲートや旗などの装飾を写しておくのもいいでしょうし、お弁当を食べてるとき、そのお弁当の中身を撮っておくのもいい思い出になります。

また望遠レンズで撮られる場合、とかく自分の子供、子供の顔のアップばかりになっている方がいます。運動会の写真を残しておく意味は、お子さんのためでもあると思います。仲の良い友だちや、先生と一緒に写っている写真も撮っておいてはいかがでしょう。

プロカメラマンが入るなら、プロに任せられるところは任せるというのも、思い出を最高の形で残すという意味では得策です。全て自分で撮ろうとするのではなく、例えばかけっこで走っているところなど、撮影テクニックが求められるシーンや、どうしても顔が見えないシーンでは、後で写真を買うことにするのも利口な方法だと思います。
ただプロカメラマンの世界では、販売方法によるリスクから、泣き顔やヘン顔、パンツが見えている写真はNGとなります。もしそういった場面があれば、その姿は親御さんの方で撮っておいてあげるといいと思います。

最後に、カメラはかなりホコリを被っていますので、壊れないようにするためにも、家に帰ったらホコリを落とすことをお忘れなく。

*参考

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