徹底解説!背景ボケと被写界深度

1. 背景をぼかすための3つの要素

「ぼかした写真にするためには一眼レフ」とか、「コンデジやスマホではぼけない」」とよく言われたりしますが、一概にそうとは言えません。これを読めばちゃんとした理解が得られます。背景をぼかして撮るためのポイントは3つです。
1) 絞り(F値)
2) レンズ
3) カメラ・被写体・背景の距離関係
まずはこの3つ、それぞれについて詳しく解説していきます。これは背景ボケの調整方法を知ることにもなるので、クッキリ撮りたいときも、活かせる知識です。

下に解説していきますが、3つの方法については、解説動画もあります。映像だと分かりやすいのでお勧めです。
■絞りを変える方法とその効果について、レンズが変わるとどう変わるのか、についてはこちらの動画で。

■被写体との距離を変える方法はこちら。逆に隅々までクッキリ写す方法についても解説しています。

2. F値・絞り

レンズの絞りの数値、つまりF値を変えることで背景ボケが変わってきます。その方法は、
①撮影モードダイヤルを絞り優先モード(Av/A)に合わせる。

②Fの数値を小さくすると背景がボケる。
③逆に大きくするとクッキリ写ってくる。

下の2枚の写真を見比べてください。主役のパンジーの後ろにある白い花に注目します。
F11

F4

F4の方がF11より背景がボケています。Fの数字が小さい方が背景がボケてきます。

※カメラでF値を変える操作方法が分からない場合は、Youtubeの参考動画をご覧ください。CANONの一眼レフだけでなく、他のカメラもあります。
CANONカメラの使い方

3. 使うレンズによる違い

F値が同じであっても、使うレンズによって背景ボケは違ってきます。レンズの焦点距離が長くなるほどボケが大きく、小さくなるほどボケなくなってきます。一般的に望遠レンズだとボケが大きく、広角レンズだとボケは小さいのです。以下2枚の写真を見比べてください。
望遠レンズで撮った写真

レッサーパンダの背後に写る木の幹に注目してみてください。
標準レンズで撮った写真

望遠レンズの方がぼけているのが分かります。
ただしこの写真は、下の写真を拡大しています。

4. なぜ単焦点レンズが良いと言われるのか?

ボカすなら、単焦点レンズとよく言われています。それは間違いとは言いませんが、正確な答えではありません。始めに言った通り、ボケに関わるのはF値、レンズ、距離の3つです。
先ほどF値が小さい数字の方が大きくボケると言いましたが、Fの最小値はレンズによって違います。最小F値は、例えばF1.2のレンズもありますが、F4が最小のレンズもあります。
ただ単焦点レンズの方が、この最小値が小さいことが多いので、ボカすなら単焦点レンズだと言われるのです。

そこで、まずは自分の持っているレンズの最小値を確認してみてください。レンズの前面や側面に表示されています。たとえば下の写真の白い丸で囲った部分がそうです。
この単焦点レンズの最小のF値(開放F値)はF1.2。

このズームレンズの最小のF値(開放F値)はF4からF5.6。

最小値と言いつつ、範囲があることを妙に思ったかもしれませんが、ズームレンズでは焦点距離が変わるので、ズームによって最小値が変わることがあります。詳しい話はレンズの項目で。

5. ボケ方にこだわる

F値が同じで、焦点距離も同じレンズであっても、違うメーカー・違う種類のレンズだと、“ボケ味”が変わってきます。下の2枚の写真はどちらも焦点距離85mm、F4.5で撮った写真です。主役となる花のほぼ真後ろにある白い花のボケ具合を見比べてみてください。尚、分かりやすくするために拡大(トリミング)しています。
レンズA

レンズB

“ボケ味”は好みなので、どちらが良い悪いではなく好きな方を選べばいいのですが、ボケにこだわりたいなら、レンズを新しく買うときに、お店で開放絞り(そのレンズの最初F)値で試し撮りしてみることや、カメラ雑誌などで情報を得ておくことをお勧めします。

6. 距離を変える

被写体との距離が変わればボケの大きさも変わります。距離というのは2つあります。

この図のように、カメラと被写体との距離、そして被写体と背景物との距離です。
まず被写体と背景物との距離が離れているほどボケてきます。遠くにあるものの方が大きくボケるというのは、感覚ですぐに分かると思います。
次にカメラと被写体との距離でも変わってきます。この距離が近ければ近いほど、背景はボケてきます。広角レンズやスマートフォンであっても、なるべく背景をボカしたいなら、被写体にしっかり近付けばいいのです。

7. 前ボケで表現する

ボケというのは、被写体の背後にできるだけではありません。実際にはカメラと、ピントを合わせた点との距離が変われば変わるほどボケてきます。しかしただ“ボケ”というと通常は背景ボケのことで、前側(被写体よりカメラに近い方)がボケることを“前ボケ”と言って区別しています。
前ボケを作ると、こちらからそっとのぞいて見ている感じが出ます。

また、奥にピントの合った主題に視線を持っていく効果もあります。

8. 玉ボケの作り方

背景に木漏れ日や、反射した光が入ってくると、キラキラとした光の玉ができていることがあります。これを“玉ボケ”と言ったりします。

玉ボケをつくると、主役を華やかに演出してくれる効果がありますし、写真自体が華やかになります。
大きな玉ボケを作るには、背景をぼかす3つの方法と同じ考え方をします。F値を小さくするだとか、レンズと被写体との距離に比べて背景を遠ざければいいのです。
上の写真はF4.5と、それほど小さいF値ではありませんが、被写体に十分寄っているので、大きなボケが得られました。

またイルミネーションや夜景撮影で、灯り(光源)自体をぼかして写しても。

9. パンフォーカスとは

ここまで背景をぼかす方法について説明してきましたが、全てこの逆を考えれば、写真の隅々までクッキリと写すことができます。
背景をクッキリ写す方法
1)絞りを絞る=F値を大きくする。
2)レンズの焦点距離は短い方(小さい数字)が適している。
3)カメラと被写体との距離を遠ざける

手前から奥までクッキリとピントが合っていることをパンフォーカスと言います。例えばこういった写真。

レンズは望遠だけれど、それでも十分なくらいにカメラと被写体が遠いので隅々までクッキリと写ってきます。また圧縮効果(※)により、建物が折り重なるように写ってくることが特徴の表現法です。※圧縮効果とは、背景との遠近感が小さいことにより、背景が被写体のすぐ後ろにあるように感じられること。
この場合、絞りもそれほど絞らなくてもクッキリ写ってきます。この写真はF4.5。
逆にあまり絞りすぎると、レンズに入る光の回折で、ぼやけるという現象が生まれたりします。上の写真の右上部分を拡大した下の2枚の写真を見比べてみてください。
F4.5

F22

若干ですが、F22の方がぼやけて見えますね。

10. 被写界深度とは

被写界深度(ひしゃかいしんど)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。なんだか難しい言葉に感じられますが、そう難しいことではありません。被写界深度とは、ピントを合わせた点からクッキリ見えている前後の範囲(距離)です。被写界深度は“浅い”とか“深い”という言葉を使い、要するに背景が大きくボケるような写真は被写界深度が浅い写真、背景もクッキリ写っているような写真は被写界深度が深い写真です。この浅いとか深いという言葉のイメージが、逆に感じられる方も多いようです。実際わたしも最初は、逆のように思えて混乱していました。
最初に出てきた花壇でいえば、

F11で撮影した上の方が被写界深度が深く、F4で撮影した下の方が被写界深度が浅いといいます。

被写界深度は通常、ピントを合わせた距離より手前の方が、後ろよりも短くなります。つまり前ボケの方が早く始まります。
一眼レフのレンズにはこのような深度目盛が付いているものもあります。

太いラインを挟んで絞り数値が書かれています。選択した絞り値に挟まれた距離が被写界深度です。

11. ボケを活かした写真にするには

そもそもなぜボケるといい写真に見えるのでしょうか。大きな理由は、主役となる被写体が際立つからです。背景がぼければ、逆にくっきりシャープに写った部分が浮き立って見えます。主役をどう見せるのか、テーマをどう表現するのかということを考えて、ボケ具合を決めていけばいいのです。
また逆に、大きくボカせばボカすほど、どこにピントを合わせるのかが、ボケを活かす最大のポイントになるというわけです。ピントをどこに合わせるのかは、大きなテーマですので、また別に項目を立ててご説明したいと思います。

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