写真が一向に上達しない。という相談への回答です

「写真歴は長いんですが、一向に上達しません。どうやったら写真が上達しますか?」

そんな相談を受けることがあります。写真教室に来られる方のなかにも、そういった方は少なくありません。

そう感じている方は、上達に向けた正しい選択をしさえすれば、必ず上達します。なぜなら、ご自分の写真がまだまだであるということに気づいているからです。もしご自分の写真に満足していたら、もうそこから成長の余地はありませんから。

わたしは今でこそ写真を教えていますが、カメラマンになる前の素人歴は20年くらいあります。長い初心者歴と、多くの初心者を見てきた経験から、写真が上達できない理由や、どうすれば上達するのかについて、お伝えできることがあります。

上達しないモヤモヤから、今すぐ脱したいと思われているなら、読んでみてください。

定番の写真上達法

下に挙げたような事柄については、すでに知っているでしょうか?

① とにかくたくさん撮ること

② 50mmの単焦点レンズだけで撮影する訓練をすること

③ 優れた写真作品をたくさん観ること

これらは写真を上達させるためのメソッドとして、よく言われていることで、おそらく聞いたことがあるのではないでしょうか。ですので、ここではちょっと違う切り口で説明してみたいと思います。もし知らなかったという方は、下の記事で説明しますので、そちらを読んでみてください。

#230 よく言われている写真上達法とは?

思い込みを変える

まず、こういった思い込み、勘違いをしてはいませんか? 上手い写真が撮れないのは、ぜんぶ自分の腕が悪いせいだ、と。そんな風に考えていたなら、今からその考えは捨ててください。

“上手い写真が撮れない問題” について、まずは事実を正しく認識することから始めましょう。

カメラ初心者の多くは、上手い写真が撮れないのは、全て自分の腕が悪いせいだとか、センスがないからだと考えがちです。でもそんなことはありません。じつは原因の半分はカメラにあるんです。

「・・・え? カメラのせいにしちゃダメでしょう」 と思われるかもしれませんが、いいのです。事実ですから。それに、もういちど言いますが、「半分は」カメラのせいなのです。

カメラについて、こういった勘違いをしていませんか?

「カメラは目の前の現実を写してくれるもの。だから目で見たことがそのまま写真に写されるのだ」と。

これは思い込みであり、事実はすこし違います。

カメラのレンズは、肉眼とは違います。どう違うのかというと、まず人間の眼は2つあるけど、カメラのレンズは1つです。当たり前ですが、ここはけっこう大きなポイントなので、あらためてこのことについて考えみてください。

人間の眼は2つあります。だから現実を立体で、3次元的に捉えています。でも写真は平面です。この差は認識している以上に、けっこう大きなことです。

このことが、「なにか違う・・・」と感じる理由のひとつです。

写真は目で見た印象どおりには写らないのです。

次に、人間は世界を四角く切り取って見ていませんが、写真は四角く切り取ります。これも「自分の感じていることと違う・・・」と思ってしまう理由です。

だから、まずはそういった違いをちゃんと理解することなんです。カメラのクセ(特性)をちゃんと理解して、どこまでがカメラのせいで、どこからが自分の腕のせいなのか、そこを知る必要があります。

写真を上達させるための考え方

ここまで読んでいただいたら、こういう疑問が湧いてきたのではないでしょうか。

「それは分かったけど、じゃあどうすればいいの?」 と。

それにお答えする前にもう1つ、とても大事な考え方をお教えします。

それは、写真は“写真表現”として考えるのです。

ここまで、カメラは人間の眼とは違うということをずっと説明してきました。だから、見たままを写そうとすることを、そこを目指すことを、あきらめてください。そうではなく、“いま目の前にある光景を、写真としてどう表現するのか?” と考えるのです。

写真は絵画とは違って、描くわけではありませんが、でも現実を四角い平面上に表現するという意味では同じかもしれません。

だから、たとえば構図が大事だったりします。目の前の世界は四角く区切られていませんが、写真は区切ってしまいます。観る人にとって、例えば心地よい構図を考えることが求められたりします。

カメラの特性やレンズのクセを知って、それを使って自分の受けた印象や、感動する気持ちを、どう写真に表現するのかと考えるのです。

またピントは、基本的にブレたりボケたりしないようにカメラを設定して写します。でも表現として、あえてブラすことがOKになることもあります。ブラして写せば、疾走感が得られるなどの表現になります。

このように、受けた印象をどう表現すれば伝えることができるのかを知ることが大事です。そして、その“引き出し”をたくさん持つことが必要です。

そのためには写真を学ぶことも必要となってくるでしょう。

写真も他の芸術のように、あるレベルまでは教えてもらわなければ、なかなか上達しません。でもここまでお話してきたように、何を、何のために学ぶのかということは、理解していただけたのではないかと思います。

写真教室に通って学ぶのもよし、写真の本を買って読むのもよしですが、そこで写真表現の引き出しを増やすのだという意識を持って、学んでみてください。

私が公開しているyoutube『プロが教える、動画で学ぶ、みんなの写真塾』シリーズでも、たくさんの写真表現と撮影テクニックをご紹介しているので、ご覧になってみてください。

そのときに、「こういう表現方法を使うと、こういう効果が得られる」という説明の仕方をしているので、そこに注目してみるといいでしょう。

大野朋美のYoutubeチャンネルをのぞいてみる

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《目次》カメラマンの撮影手帳

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