昨今、ただカメラと言えば当然のように“デジタルカメラ”ですが、そんなデジタル時代に入ってからの発展は目覚ましいものがあります。そのぶん機能や仕様の変化も多い状況のなか、普遍とまではいえなくても、できるだけ変わらないことを取り上げ、カメラに詳しくない初心者、入門者にも分かるように解説しました。2018年12月現在。
1. カメラの種類
そもそもカメラってどんな種類があって、それらはどう違うのでしょうか。
きれいな写真を撮りたいから一眼レフかな〜、なんて思っていても、一眼レフは大きくて重量もあるので、大きくてしっかりした鞄を持ち歩くことになったり、長時間持ち歩くなら、体力がないと疲れてしまったりということも予想しておいた方がよさそうです。それでも画質の良いモノをと考えるのか、どうなのか・・。そういった様々なことがらを天秤に掛けつつ、目的や撮影スタイルに合ったカメラを選ぶために、まずざっくりとカメラの種類の説明からしてみたいと思います。
・一眼レフカメラ
レンズ交換が可能なカメラ。一般的に「高いカメラ」「いいカメラ」といえばこの一眼レフのことですが、一概に一眼レフと言っても、入門機とか、ハイアマチュア向、プロユースなど、機種によってコンセプトが違っています。いいカメラの“いい”にも様々あるのです。また値段も本体だけで10万~50万、それ以上と、数10万円の差があり、かなり幅広いです。
・ミラーレス一眼カメラ
レンズ交換が可能なカメラ。出はじめの頃は、一眼レフとデジカメの中間くらいのカメラ、という認識で買う人が多かったけれど、現在は性能面で一眼レフと変わらなくなってきました。それに伴い値段も、一眼レフと似たような値段体系になってきました。それらの違いは下の項目で詳しく説明します。
・コンパクトデジタルカメラ(デジカメ・コンデジ)
レンズ交換ができないカメラで、安い、軽い、写りはそこそこ、というのがこれまでの一般的な認識でした。しかし昨今、スマホカメラの台頭により、安さや手軽さを売りにしても太刀打ちできなくなってきました。そこでここ数年は、各社とも開発の方向転換がされているようです。超高倍率ズームを売りにした機種や、特徴を打ち出した機種があり、値段も4万から10万を超えるものまであります。
この他にこんなカメラもあります。
・ウェアラブルカメラ
GoPro(ゴープロ)に代表される、小型で超広角レンズで撮れるカメラ。主にアウトドアスポーツを行う人が、自分の頭部や腕、自転車などに付けて独自の視点で撮影できることが好評。映像(動画)を撮る目的で購入する人が多い。
・スマホカメラ
ご存知スマートフォンに付いているカメラ。当初はシャッターを押す意外に、撮影者が設定できることはあまりなく、画質もそこそこという認識だったが、開発が進み、画角を変えたり、背景をぼかしたりも可能になってきた。クリップ式でレンズを取り付けたり、様々な機能を備えたアプリがどんどん出てきているので、それらを使って画像編集できることも人気。
・360°カメラ
RICOHのTHETA(シータ)に代表される、魚眼レンズがボディの表裏に付いていて、1回のシャッターで360°全てを写すことができるカメラ。動画も撮影できる。編集により、ユニークな作品にできるのが魅力。
・中判デジタルカメラ
中判カメラのデジタル版。フィルムの中判カメラにデジタルバックを付けるタイプと、最初からデジタルカメラとして作られたカメラがある。センサーサイズがフルサイズ一眼レフより大きい。値段も高額。
2. カタログ仕様書の言葉はここだけ知っておこう
カタログの最後、または最初に付いている仕様書の項目って、すっっっごく沢山ありますよね(笑)。チラッと眺めるだけでうんざりするくらいに。しかも書いてることは専門用語ばかりで、意味も分からないし。
こだわっていけば、どれも必要な情報ではありますが、とはいえ初心者の段階では、そう重大な差にはならない、スルーしても大差ない情報もあります。ここでは最低限度、知っておきたい項目だけを取り上げて、それらを分かりやすく解説していきます。
・画素数
デジタルカメラの登場以来ずっと、性能を比較検討されるときの代表格として君臨しているのがこの画素数。デジタルカメラの心臓部とも言えるイメージセンサーの画像素子の数です。この数が多ければ、細かい描写が可能というわけ。現在出ている多くのカメラは、デジカメでも1600万画素以上。多くは2千万画素あって、A4サイズくらいなら、プリントしても遜色ない十分な画素数があります。A2サイズや全紙など、大きく伸ばすのなら、それ以上の画素数を検討してもいいでしょう。パソコンのモニターで見る分には、それが大画面であっても、現時点で2千万画素あれば問題ありません。
・最高ISO感度
ISO感度とは、イメージセンサーが光を感知する感度のことで、最高ISO感度が高ければ、そこに設定することで、僅かな光でも写ってきますよ、という意味です。ただし、画質が綺麗かどうかは別の話で、ISO感度を高く設定すると、画質は落ちていきます(ノイズが明確に現れてきます)。しかし同じISO感度(の数値)に設定したとき、最高ISO感度が高いカメラの方が綺麗です。例えば、最高ISO感度が25600のカメラのISO6400での“キレイさ”と、最高ISO感度が10万のカメラのISO6400での“キレイさ”は後者の方が綺麗に写ると考えてください。
・センサー
そのカメラに使われているセンサーが何であるのかも、選ぶ時のポイント。よくあるのは「フルサイズ」「APS-C」「フォーサーズ」「1型」など。これらは全て、センサーの大きさを伝えていて、大きいセンサーほど(平たく言えば)綺麗な写りで、高級カメラということになります。いまはセンサーが大きい順に挙げました。
3. 仕様書に書けないけど重要な性能について
ずばり、それはオートフォーカス(AF)の性能です。これは仕様書けるようなものではないので、自分で使ってみないと何とも言えません。主に動くモノを撮る人には、もどかしいところです。一口にオートフォーカスの性能といっても、いくつかあって、、
1つ目は合掌点の範囲と数。ピントを合わせたら、ピピっと音がして“□”が表れますよね。その点の数が多い方がより細かくピントの位置の指定ができます。また一眼レフだとその点が、端の方には無いですが、どのくらい端の方にあるのか、ということも選ぶ時の大きなポイントです。
2つ目はフォーカスの速さ。オートフォーカスに設定したときの、ピントの合う速さです。オートフォーカスの性能は同じカメラならいつも同じというわけではなくて、、特に暗い部屋や、レンズと同軸上で動いているもの、合掌点が端の方だったりすると性能が落ちる傾向にあります。
3つ目はフォーカスの正確さ。これは2の「速さ」が速い機種の方が正確さも高いと考えて、ほぼ問題ないです。
ちなみにですが、連写性能のいいカメラは、要するに動体撮影に強いというコンセプトで作られているものが多いので、AF性能も良い傾向にあります。そういう意味では、仕様書で連写の項目が参考にはなるでしょう。
4. 一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの選び方
まずは一眼レフとミラーレス一眼カメラとの違いについて説明します。
一眼レフのレフはレフレックスの略で、レフレックスは“reflex”で“反射”という意味です。(ちなみに光の反射をリフレクションなんていいますよね。)
一眼レフは、ファインダーを通して肉眼で現実の風景を見ることができます。でもファインダーの位置は、レンズより上についています。それでもちゃんと見えているのは、カメラの中にレンズから入ってきた光を反射させてファインダーに導くミラー(とペンタプリズム)が入っているからです。このような機構のカメラを一眼レフカメラといいます。
余談1.一眼があるなら二眼もあるでは?という疑問は容易にわいてきますが・・そうなんです。フィルムカメラには二眼レフカメラがあります。フィルムに光を導くレンズと、肉眼で見るためのファインダー用のレンズが2つ付いているのです。こちらの内蔵ミラーは、中でバタバタと動くことはなく固定されていて、上のファインダーに光を導きます。
余談2.実はファインダーで見えている範囲と写真に写る像とが、全く同じ範囲とは限りません。なので仕様書には「視野率」という項目があります。これは撮影した写真のどのくらいの範囲をファインダーで見ることができるかを示しています。視野率が100%と書かれていれば、写真に写る範囲とファインダーから見えている範囲が全く同じということになります。
いま一眼レフの解説を読んでいただいたと思うので、そうすると「ミラーレス」の意味はもうお分かりかと思います。・・そう。光を反射させてファインダーに導くミラーが無いので「ミラーレス」です。ファインダーでなく背面モニターで確認しながら撮影できるので、ミラーは必要ありません。ファインダーの付いている機種もありますが、あれは最初の頃はありませんでした。ファインダーで覗いて撮影したいというニーズが多く、付けた機種が増えてきました。なので覗いた中で見えているのはデジタル画像になります。
ここでミラーレス一眼が一眼レフより良いとされていることをいくつか挙げてみます。
1.シャッターを切ったとき、ミラーアップの衝撃がないこと。僅かなブレも許されない撮影でシャッタースピードが稼げる。
2.シャッターを切ったとき、ミラーアップの音が出ないので、完全無音にすることが可能(機種による)。
3.同等な性能ならミラーレス機の方が重量が軽い傾向にある。
5. コンデジ・デジカメの選び方
広く“デジカメ”と親しまれ、以前はどこの家庭にも1台はあったコンパクトデジタルカメラですが、最近はその地位はすっかり“スマホ”に取って代わられたようです。(スマホは一家に1台ではなく、一人に1台ですかね。)小さくて軽いことが売りだったはずのコンデジですが、少々大きく、重たくなっても、性能重視になってきているのは、手軽さを追求しても、昨今のスマホがある状況では難しいのかもしれません。値段も、3万円前後が主流だったところから、4万円以上、10万円を超えるという機種まで出てきています。
こういった値段や重量の大きな理由の一つは、センサーの大型化だと思います。センサーが大きくなれば、画質は良くなります。現在発売されている機種をざっと見渡せば、1.0型センサーが主流のようですが、スマホのセンサーが1/2.3型が多くなっていますから、メーカーは、それよりは大きいセンサーでと考えているのかもしれません。さらに一眼レフやミラーレス機の多くで採用されているAPS-Cサイズのセンサーを搭載しているものも増えてきました。SONYのRX1シリーズはなんと、フルサイズセンサーを搭載しています。これらは形として一眼レフに見えます。10万以上クラスは形が一眼レフに似ていることからネオ一眼ともいわれていますが、一眼レフとコンデジの主要な違いは、レンズ交換ができるかどうかですので、見た目に一眼レフでも、レンズ交換できないなら、それはコンパクトカメラです。
コンデジを選ぶ時のポイントでよく聞くのはズーム倍率です。ズームでは以前からPanasonicのLUMIXが力を入れています。仕様によれば、焦点距離600とか、700、1200にもなる機種も出ていましたが、一眼レフに600mmのレンズを付けることを思えば、コンデジが少々大きく重くなっても、十分に小型軽量と言えますね。しかも全域で開放F値が変わらない機種も出ているようです。
ところで勘の鋭い人は、そんなにズームできるって、手振れの問題は大丈夫?と思われたかもしれませんが、5軸手振れ補正機能を搭載していました。こういった手振れ補正機能まで搭載してくれば、それは大きく重くなってくるわけです。まあでも、小型軽量化は日本のお家芸ですし、一旦この性能で大型化されましたが、そのうちまた段々と、小型化してくるのかもしれないですね。
以上、カメラを選ぶときに知っておきたい最低限の知識を書いてきました。参考にしてみてください。
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