プロが教えるネットショップ向け商品撮影で知っておくべきこと

1.はじめに

ネット販売している方々と10年くらいお付き合いがありまして。撮影のご依頼をいただく傍ら、カメラの選び方や写真の撮り方など、ご相談もよくいただきます。自社サイトで販売されている方やAmazonなどに出品されている方など、幅広くお付き合いがあるので、予算に合わせてその方にあったアドバイスをしています。またご商売されている方に向けた写真セミナーのご依頼をお受けしたり、2014年刊行の『ネット販売で月に100万稼ぐ!』(平賀正彦著)の中でも、誰にでも簡単に撮れる方法を紹介しました。

ここでは、これまでお伝えしてきたことの中から、ネットショップオーナーのどなたにも知っておいてほしい大事な点をまとめました。写真を上手く撮る方法というだけならネットにたくさん記事が上がっていますが、ここでは商品写真を撮るときの注意点やカメラの選び方、費用対効果も考えた話をします。

2.何のために写真を載せるのか

のっけからそもそも論なんてちょっと面倒に思われるかもしれませんが、大事なところなのでこの機会に再確認してください。
それで何のために撮るのか載せるのかということですが、もちろん商品を知ってもらうためですよね。その商品がどんなものなのかを伝え、商品の特徴や魅力を知ってもらうためです。でももう一つ大事なことがあります。それは、見込み客にその商品について安心や信頼を得てもらうという目的です。

実店舗とネットショップの大きな違いって何でしょう?
それは実物を手に取って見られないことです。そして何かちょっと聞きたいことがあっても、すぐに答えをもらえないことですね。ここを真剣に考えることによって、文章や写真の役割というものが明確になってくるはずです。
手に取ってみることと同じくらいの情報をそこで得られないと、お客さんはさっさと他のサイトを探しに行くかもしれません。わからないことがあっても、お店ならすぐに店員さんを呼んで尋ねられますが、ネットの場合、多くの人は質問を送るのを面倒に感じて、サイトを離れることを選ぶでしょう。
さらに実店舗なら実物をお客さま自身の目で見ているのですが、ネットショップの場合、画面で見た写真と実物が違うといったことも起こりうるのです。ネットショップだと、ちゃんとした写真を撮って載せなければクレームにつながるということです。

実は、実店舗であっても、お店で見た時と家に帰って見た時とでは違うということは起こります。例えば洋服。家に帰って取り出してみたら、あれ?こんな色だったかな?って思った経験はありませんか?
実際そうで、お店の照明ってオレンジ色のところが多いですよね。だから正確な色で見えてないんですよ。でもそれはほとんどクレームにはなりません。お客さま自身の目で確認しているから、クレームにしづらいんですよね。でもネットだと、実物をその目で確認できないので、もし色が違っているとクレームにつながるわけです。

では“ちゃんとした写真”とは、どういうことでしょう?どこをどう、ちゃんと撮ればいいのか。まずはこの辺の話から入っていきます。

3.これだけは避けたい失敗写真

商品写真というのは、お客さんは、自分が見ている写真の“そのもの”が自分の手に入ると思っています。なので、魅力的に撮るということ以前に、まずは正確な情報としての役割を考えることが大事です。そしてもう一つは、新品に見せることが大事です。当たり前のようですが、新品を撮れば、新品に写るかと言えば、そんなことありません。

つまり、ちゃんと撮れている写真とはこの2つです。
①新品に見える写真
②正確な情報を与えている写真

なのでこの2つを押さえた写真にするにはどうすればいいのか、写真を撮るときの注意点についてお話します。ただこれには逆にダメな写真とはどういった写真かを挙げていった方が分かりやすいので、絶対に避けたいNGポイントを紹介していきます。ダメな写真とは何かを知り、最低限そこを避けるように気をつけることが、信頼を得る写真の大事な一歩です。

1)明るさ
特に室内で写す場合、暗い写真にならないように気をつけると思いますが、そもそもNGといえる“明るさ”とは何か知っていますか。

NG①:白とび → 写真用語ですが、明るすぎて真っ白に写ってしまっているということです。
例えば白いシャツを撮ったとして、写真では真っ白に写っているのですが、実際にはそこはレース模様だったというとき、それは正確に商品を伝えていません。明るすぎる写真はNGです。

NG②:黒つぶれ → これも写真用語ですが、暗すぎて真っ黒に写ってしまっていることです。
黒いスカートやジャケットなどを撮影したとき、写真が暗くなりすぎてディテールが分からなくなっている場合です。

爪先あたりが黒く潰れて、よく分からない。

黒い中にもディテールはちゃんと出ている。

2)ブレ・ボケ
ピントの問題です。ピントはカメラが自動で合わせてくれますが、あまり近づき過ぎてシャッターを切った場合、ピントが合ってない写真になることがあります。また一見、ピンボケに見える写真の多くは、実はブレている場合がほとんどです。室内や暗い場所で写すと、手ブレを起こす可能性があります。三脚を使うことで解決できますが、三脚の話は後ほどします。

3)ゆがみ
広角レンズと呼ばれる、広い範囲を映すレンズで近づいて撮ると写真の端の方で、ゆがみが出ます。
写真初心者のほとんどの人が、カメラを手に持って、なるべく商品に近づいて撮ろうとします。しかしプロカメラマンは逆です。通常、商品から少し離れた位置から撮ります。

4)色
色が違うというのは印刷物、カタログで多くのクレームを生み出してきました。印刷されていたモノと実物の色が違うということに、業界では色合わせの専門家がいるくらい、シビアで難しい問題なのです。しかし幸いと言っていいのか、ネットにアップされた写真はそこまで厳密に考えなくてもいいかもしれません。
なぜなら、パソコンのモニターによって色の表示は多少変わってくるからです。つまりお客さんの見ている画面とこちらで見ているものは違う場合がほとんどで、お客さまの閲覧する環境まではこちらは責任もてないとしているところがほとんどです。もちろんこちらがアップする時は、できるだけ色再現に力を入れるべきです。手を抜いていいという話ではありません。

電球色で写すとちゃんとした色に写らない。

さてこれらがダメな写真ということですから、逆にこれらをクリアしていれば、それがちゃんとした写真だということです。

これらを回避し、ちゃんとした写真を撮るためには、最低限のカメラの使い方を知らなければなりません。そこについては別に記事を用意しています。この記事の一番下に、リンクを貼っていますので、そちらをお読みください。また初心者に向けたカメラの基礎講座を定期的に全国で開催していますので、そういった機会を利用して私から直接、説明を受けることもできます。

4.写しておくべき商品写真のポイント

“ちゃんとした写真”にするには、見せる部分がちゃんと写っているのかにも気をつけたいところです。

①ロゴや商品名
何と言ってもまずはここ。重要なポイントです。布のような製品の場合、よれたりしていないかとか。光を反射する素材だと、白く光って写っていない、なんてことも起こるので気をつけます。

②正面以外
正面から全体を写した写真はもちろん必要ですが、その他にも裏側や内側、こだわった部分のアップの写真。

③イメージ写真(カット)
写真業界では、商品の正しい情報を与える目的である①②の写真の他に、その商品のイメージを表現した写真のことをイメージカットといって区別しています。イメージカットは、例えば全体がきれいに写っていなくても、また少々色が正確でなくても、要するにかっこいいとか美しいなど、感情にうったえること目的とした写真です。ファッションならモデルが着てポーズを取った写真とか、使っているシーンの写真などもそうです。
商品写真を撮るのか、イメージカットを撮るのかを、自分の中でちゃんと区別できているのかは大事なポイントです。

5.カメラは何を買えばいいのか?

お勧めのカメラについては、たいへんよく質問されますので、ここに解説しておきます。

まず値段の高い一眼レフを買う必要はありません。街中に貼られているような大きなポスターを写すわけではないからです。また高級一眼レフの中には、スポーツなど激しい動きに対応できる機能を充実させた機種もあります。商品撮影には必要ない機能です。そういった機能にお金を掛ける必要はないですよね。
ネット掲載する商品写真を撮るという目的なら、店頭で売られている最新カメラのほとんど、どれを買っても画質に問題はありません。デジカメ(コンパクトデジタルカメラ)も含めてです。
要するに、上のNG写真を紹介したときに出てきたポイントを回避できるカメラが必要なのですが、、例えば暗いところでも手ブレをしないとか、キレイに写せるといったことは、今の時代ほとんどのカメラで問題ないのです。もちろん古いデジカメは別ですが。デジカメは最近、「ネオ一眼」と呼ばれている機種が出てきています。見た目が一眼レフのような形なのでこう呼ばれているのですが、値段は10万くらいします。このクラスのデジカメは手軽ですし、画質もいいのでお勧めです。
では逆にスマホでもいいのでしょうか。実際スマホでキレイに写したい、スマホで写す方法を教えてと言われることは多いです。ちまたでは今のスマホは一眼レフくらいにキレイに写せるという評価もよく聞きますが、さすがにそれはないです。本当にスマホが一眼レフの代わりになるなら、私たちプロも躊躇せずスマホで撮ります。たしかに撮り方によってはスマホでいい場合もあります。これについては次の項でふれます。
あとはアクセサリーとか、そういった小さいモノを写すとき、デジカメなら大抵は接写できますが、一眼ならマクロレンズが必要になります。

6.最低限これだけ!写真撮影の機材と環境について

私に言わせれば、カメラにこだわるより、撮影機材にこだわった方がいいです。カメラは安めのものを選んで、浮いた予算でライトなどを揃えた方が費用対効果が高いと言えるでしょう。
先ほどの項で、スマホでもキレイに写したいという要望が多いと言いましたが、そういった方に私がお伝えしているのが、スマホでもいいけれど、その場合は機材にお金を掛けてください、ということです。たしかにスマホのカメラでもきれいに写ります。ただしそれは好条件の下でです。お天気の良い日の屋外で写せばきれいに写りますが、暗い場所であったり、逆光などの条件下では、決してきれいとは言えない写真になります(2019年現在)。
では撮影機材が何を買えばいいのか、その購入のポイントについて説明します。

①三脚
まずは三脚です。三脚は、ネット検索すると膨大な種類が出てきますが、商品撮影に使うという目的なら、そこに据えるカメラに適した足のしっかりしたものを選ぶのがポイントです。
スマホやデジカメといった比較的軽いものなら手軽で安価なものでもいいと思いますが、それでもアクセサリーのような小さなものを写すなら、なるべくしっかりしたものでないとブレます。一眼レフやミラーレス一眼を使うなら、三脚の仕様の、最大荷重を確認してください。
意外と見落としがちなのは、家のテーブルに商品を置いて撮る時、例えばコタツやちゃぶ台のようなテーブルだと、三脚を一番下に下げても、三脚の方が高いというということになります。なので最短でどこまで短くなるのかも見ておくポイントです。

一眼レフ用の三脚。だいたい1万円前後。

②ライト
蛍光灯でもLEDでも、選ぶ時に一番大事なポイントが光量です。大光量(明るい)のものを選んでください。大光量のものは値段が高くなるので、よく知らない人はだいたい安いもの選びがちです。でも安い理由のほとんどは、光量が少ないからです。商品がかなり小さいものに限られるならいいかもしれませんが、コーヒーカップくらいのサイズからもう、買ったそのライトが使えない可能性が出てきます。私が撮影指導でうかがった時に、「すでにライトは持っているんですけどねえ・・」と言って見せてもらったライトでちゃんと使えるライトだったことは、これまでのところありませんでした。
蛍光灯はワット数で判断しますが、最近はLEDライトが主流です。LEDは、通常パネル面積が広いほど電球の数が多く、光量も増える傾向にありますから、その辺で判断するといいと思います。また光量を変えられる商品もあります。その方が便利なのでお勧めです。

最低このくらい以上のサイズが好ましいです。

③撮影セット(ボックス)
よく「撮影セット」という名称が使われていることが多い撮影用のボックスですが、少し大きめのものを買うことをお勧めします。商品のサイズギリギリなのはお勧めできません。特に撮影する商品が多岐に渡る場合は、大きいサイズの商品に合わせた方がいいです。大きいボックスに小さいものを入れて撮る分には、さほど問題はありません。

7.費用対効果から考える、自社で撮るV.S.プロに頼む

ここまで説明してきたのに何ですが、そもそも本当に自分で撮影することが本当にいいのか、予算的に正しい選択なのか?って話を、最後にしておきます。あ、いえ、撮影はプロの私に頼みなさいという話をしたいわけではなくて(笑)。自分で撮影することのメリットとデメリットについて、ここでちょっと考えてみていただきたいのです。
ビジネスにおいて写真が必要だぞってなったときにどうするか。選択肢はこの4つです。
① プロカメラマンに撮影を依頼する
② 撮影代行に依頼する
③ 自分で撮る
④ ストックフォトを購入する

自分で撮るというのは、この4つの中から選んでいるということになるのです。
プロカメラマンに頼むというのは、通常万単位で費用が掛かりますよね。そこで2という選択肢が出てきます。この撮影代行サービスというのは、商品を送ったら、値段は1枚数百円からで、きれいに撮ってくれるようです。
商品がどんなものか、ちゃんとわかるように撮ってくれますし、背景をきれいな白で撮ってくれるので、例えば、カートが設置されているページの写真はこういうところにお願いするといいかもしれません。
①と②を検討するとき、単純に値段だけの話をすると、断然②の方がお得ということになります。ただ商品をこんな風に撮ってほしいという要望があったり、凝った演出がされたかっこいい写真(イメージカット)がほしいというときは、ちゃんとしたカメラマンにお願いした方が、売上の上がる写真を撮ってくれます。最近は2のサービスでも、別メニューとしてそういうのもやっているようですが、そうすると結局、値段はぐんと上がるようです。

商品を写す場合は④の選択は無いので、自分で撮るという選択は、①、②と比較してメリットがあるならということになります。
自分で撮ることのメリットは、まずはコストがかからない。そして手間がかからない。必要な時にすぐに撮れる、ということでしょうか。でもそれは本当でしょうか?
まずコストの話。なんといってもカメラは安くても数万円からになります。上で話しましたが、カメラを安くすませても、例えばスマホで済ませても機材は必要になります。もしイメージカットも自分で写すなら、アレンジ用の小物なども自分で探して買ってこないといけません。撮り方を勉強するために、本を買ったり、今日の講座費用などがかかってきますね。また手間の面でも、実際撮影には結構時間をとられます。

任せるスタッフがいなくてご自分で写されているなら、そもそも写真が好きならいいのですが、実際に取り掛かってみると、撮影ってけっこう面倒で億劫なものです。だからつい後まわしにしてしまう方がとても多いし、そこにハードルを感じて商品のアップがかなり遅れてしまうという方も多いようです。残念なお知らせですが、撮り方が分かるということは、けっこう面倒な作業だと知ることにもなるんですよね(苦笑)
結局、撮影が好きな方は、ご自分で撮られるといいと思いますが、そうでない場合は、①や②を利用した方がお得かと思います。
もし①、②を利用することにしたとしても、ここまで説明してきた知識は知っておいた方がいいことで、決してムダにはならないです。

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