ホワイトバランスとは、ざっくり言ってしまえば、“色を調整”することです。自分の撮った写真を見て、なんだか実物と色が違うなと思った経験はありませんか? ここでは色の調整方法について詳しく説明します。
ホワイトバランスとは
ホワイトバランスは「White balance」、略して「WB」と書きます。カメラのホワイトバランス機能とは、白いモノをちゃんと白く写すための機能です。
たとえばレストランや居酒屋で撮った写真などは、黄色や赤っぽくなりがちです。じっさいオレンジ色のライトが使われていたりしますが、これをなんとかしたいと思ったら、ホワイトバランスを調整します。
※左がオートに設定して写したとき。右が適切に調整したとき。
ホワイトバランスについて、映像解説をご用意しました。こちらをご覧いただければすぐに理解できます。活字で読みたい方は、下に説明を続けます。
ホワイトバランスの調整方法
ホワイトバランスを調整するなら、カメラの「ホワイトバランス」という項目か「WB」という記号を探してください。たいてい、下記のどこかにあります。
①「MENU」ボタンの中
②カメラのボディに直接ボタンがある
③ファンクションボタン「Fn」の中
④背面モニターのタッチパネル
選ぶと、このような画面が現れます。
最初は「AWB」(オートホワイトバランスの略)に設定されています。この画像だといちばん左です。
その他にもいろいろなマークが並んでいますよね。このマークの意味はカメラ共通です。どれかを選択すると、それぞれその撮影状況に適した色に設定してくれます。
例えば、いまこの画像では太陽のマークに設定されているので、晴れた日の屋外で撮影する際に、ここに合わせておけば、適正な色に写してくれるという意味です。以下それぞれのマークの意味になります。上の画像の並び順に説明していきます。
AWB:カメラにお任せのオート機能
太陽:晴れた日の屋外で撮影するとき
家の隣に斜線:日陰で撮影するとき
雲:曇りの日の屋外で撮影するとき
電球:オレンジの電球の灯りの下で撮影するとき
長方形が光っている:蛍光灯の下で撮影するとき。ここは昼白色や昼光色など幾つか用意されています
稲妻みたいな矢印:フラッシュ撮影するとき
花みたいなマーク:その環境下で色が違っていたとしても、もともと白い(無色の)モノを最初にカメラに覚えさせて、補正する機能。カメラによって違ってくるので、詳しくは説明書を読んでみてください。説明書では「ホワイトバランス」の「カスタム」の項目を探してください。
ちなみに初心者の方は、上手い人はこの機能を使っていると思われるかもしれませんが、使っている人は少ないないです。
K:※下の「色温度」の項目で説明します。
ホワイトバランスで表現の幅を広げる
AWB(オート)に設定しておいても、色が変だと感じることって、これまであまりなかったと思います。
ホワイトバランスの出番は、適正な色にすることよりも、これからお話する目的で使うことの方が多いかもしれません。ここも解説映像をご用意したので、ぜひご覧ください。でもやっぱり文字で読みたい方は下に続きます。
《映像チャプター》
0:00 等々力渓谷へ
1:20 渓谷の写真が撮れました
1:42 ホワイトバランスを「日陰」や「曇り」に変えてみる
2:38 ホワイトバランス補正を変更する方法
3:39 雑談
ホワイトバランスの活用方法は、色を現実に近づけるためだけに使っていたら、もったいないです。それよりも、表現の幅を広げるツールと考えて、活用するといいでしょう。例えば下の3枚の写真を見比べてください。
これらは同じ状況で、ホワイトバランスの設定だけ変えています。
あなたはどれがお好きですか?
このように、あえてその状況下ではないマークに設定するなどして、自分の印象に近い色に変えて楽しんでみてください。
色温度とは何か
ホワイトバランスについて勉強していると、出てくるのが「色温度」という言葉です。おそらく多くの方が、「ホワイトバランス」と「色温度」って何が違うの?って疑問がわいていたり、同じことだと勘違いしている方も少なくないでしょう。
色温度の調整は、ホワイトバランスを調整することのひとつです。ホワイトバランスを調整することの中(下位)に、色温度調整があります。
色温度は、先に出てきた「K」のマークで調整します。
Kはケルビンの略です。ケルビンって、学校の化学の授業では、温度の単位だと習いましたよね。たしかにここに出てくるKも、温度のケルビンを指しています。
上の画像では、Kを選んでますが、下に5700という数字が出ています。これは5700K(ケルビン)という温度のことを言っていますが、温度のことは気にしなくて大丈夫です。
ちなみに、気にしなくてもいいと言われても、どうしても気になってしまう方のために簡単に説明しておくと・・・
例えばガスの火は青い色ですが、マッチや焚き火は赤やオレンジ色です。これは燃えるときの温度による色の違いです。温度が変わっていくと徐々に色が変わる。このことを色調整の尺度に採用しているのです。
この数字の幅はカメラによってまちまちですが、だいたいどのカメラでも、下は2500から、上は10000くらいまでじゃないでしょうか。
小さい数字にすれば、写真の青み(寒色)が増します。大きい数字にしていけば、写真の赤み(暖色)が増します。
ホワイトバランス補正、微調整のしかた
上の項で、ホワイトバランスと色温度は同じではないと言いました。ホワイトバランスの調整は、色温度を変える以外にもあります。
カメラを操作していて、このようなマトリックスが表示されたのを見て、これって何だろう? って思ったことはありませんか?
これはホワイトバランス調整のための画面です。メーカーによって呼び方が違ったりしますが、「ホワイトバランス補正」「ホワイトバランス微調整」「色温度・カラーフィルター」などと説明書に書かれています。
でもこれを使うのは、カメラの「ホワイトバランス」調整をした後になります。太陽のマークを選んだり、Kで色温度を決めた後に、ここで微調整します。
※上に貼った動画の、2:38 辺りから説明していますので、そちらを見ればすぐに分かりますのでお勧めです。
このマトリックスには、それぞれA、B、G、Mという記号が付いていますが、使っている色を参考に調整するといいです。
たとえばGの方向はグリーンのラインが使われています。じっさいグリーンの略でGです。Aはアンバー、Bはブルー、Mはマゼンダの略です。
例えばこんな風に調整できます。この2枚を見比べてください。
2枚ともホワイトバランスは曇りマークを選んでいます。下の写真は、さらにGに補正した写真です。緑が強く出ています。
ホワイトバランス補正の出番が多いシーンは、例えば夕焼けの風景を撮影するときですね。あとは、桜をピンクに写したいときにM(マゼンダ)に寄せるといいでしょう。
いかがでしたでしょうか。これまであまり使っていなかったという方は、ぜひホワイトバランスで表現の幅を広げてくださいね!
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